オリジナルBL『俺の人生最大の失態』

4~5年前で紙原稿が無くなってしまったので完結するかは分かりません( ・∇・)
ノリがお気に入りなので移転


俺の人生最大の失態

金曜日の部活終わり、珍しく咲也と二人きりで帰る。
「はぁ…またコーチに怒られた」
「半泣きだったよな、柊」
練習試合で、ボールのキャッチミスで1点落とした。そのせいで俺達チームは逆転され、負けてしまったのだ。
「言うなよ、恥ずかしいんだから!」
「可愛いからいいじゃん」
「嬉しくない!」
自分の力不足は、嫌というほど分かっている。俺は居たたまれなくなって、咲也から顔を背けた。
「ふふ、そう怒るなよ。可愛いだけだから」
からかうのもいい加減にしろ。
頭にきて振り返ると、咲也が真っ直ぐな瞳で俺を見ていた。生粋の日本人を表す黒い瞳が、夕暮れに映えた。
「な、何だよ」
「いや、改めて綺麗な顔してるなぁ、って」
「嬉しくない!」
「その台詞二回目。耳まで真っ赤にして言われても、説得力ないけど」
「はぁ…」
言い返すのも無駄だと思い、それからは彼の言葉を聞いているふりをしながら、ボーっと歩いていると、不意に彼が立ち止まった。
「なぁ、柊。今から家来て遊ばない?」
「散々人のことをおちょくって言うのがそれか。何するんだ?」
「それは来てからのお楽しみ」
腑に落ちないが特に予定もないので、咲也の家に向かうことにした。

「4勝。あと一回で、俺の言いなりな」
「くっそ、何で勝てないんだよ!」
咲也の家でゲームをすること4戦。
30分ほど前に、5勝で相手の命令を何でも一つ聞く約束をした。もちろん俺の勝利を見込んでだ。
しかしいざ蓋を開けてみると、5勝どころか1勝すら出来やしない。
俺はドSの柊様だ!俺は人を遣う立場であって、遣われる立場じゃない。
負けるわけにはいかない。
「絶対負けねぇからな!」
「望むところだ!」
第5回戦が始まった。
何となく、嫌な予感はしていたが。

「…」
「さーて、何が良いかなぁ」
結局負けた。
ああ、そうだよ。この条件を引き受けた俺が馬鹿だったよ。
「あれもいいけどなぁ、うーん」
咲也は部屋の中を行ったり来たりしながら、何か呟いている。わざと勿体つけたような素振り。というか、何でそんなに嬉しそうなんだ。
「…あ、あれでいいや。丁度物もそろってるし」
「何する気だ」
「柊、ベッドの上に座れ」
「はぁ?何で」
「俺の命令は絶対、だろ?」
「ちっ…」
ベッドの上に正座で座る。
本気で何が始まるんだ。
…いや、ベッドと言われれば何となく予想はついている。ついているがそれは最悪のパターンであって、実現して欲しいものではない。
咲也は俺の向かい側に座り、そしてにっこりと微笑んだ。
「今から俺とセックスしよっか」
「は?」
言い終わると同時に、ベッドに押し倒された。
「おい、何する気だよ!」
「何って『ナニ』だけど?」
あまりにもしれっとした物言いに、突っ込む気さえ起きなかった。
俺が抵抗しないのを、了承の意と受け取ったのだろう。
咲也は一旦ベットから下り、クローゼットを漁り始めた。
「…?」
不信に思い、彼に近づく。
すると、振り返って俺に洋服らしきものを差し出した。
ええと?ピンクの布地に白のフリルやレース。それから、下手をすれば見えてしまいそうなスカート。
…メイド服に違いない。
ああ、またも嫌な予感がする。
前述と同じで当たって欲しくない。
「…これをどうしろと?」
咲也は喜々とした表情でこう答えた。
「もちろん着るんですよ、お前が」
ですよね。
うん、予想はしてたんだけどさ。
こいつに何かしたっけ?ただ勝負に負けただけだ。負けただけでこんな辱しめを受けるとは。例え、していたとしても俺悪くないよな?うん悪くない。
だけどここで引き下がることも出来ない。俺は柊さまだからだ。
「分かった…」
「五分で着替えろよ」
そう言って、咲也はドアの影に消えた。
「ったく、何でこんな目にあわなきゃいけないんだよ…」
俺ばっかり。
文句を言っても仕方がないのは分かっているが、そうでもしないと身がもたない。覚悟を決めて、ゆっくりとメイド服のファスナーをおろした。

鏡に映った自分を見て、愕然とした。
「ちょ、何だこれ…」
これは果たして似合っているのだろうか?
いや、そもそも男に着せる時点で似合うとか関係ないし、何が楽しいのだろうか…。
考えていると、段々恥ずかしくなってきた。見た時点で気付けよ、数分前の自分。
「五分たったから入るぞ!!」
咲也は勇みよく踏み込んできた。
「お前の要望どおりにしたんだぞ!これで文句ないよな!」
恥を振りきるよう、仁王立ちになる。
舐めまわすように全身を観察され、体が竦んだが、怖じ気づけばまた笑われる。
暫くそうしていると、彼が突然何かを呟きだした。
「…」
「な、何だよ」
不穏な空気を感じ、後ずさる。
「…じゃ」
「じゃ?」
「邪道だ!!」
「は?」
何が。意味不明だ。
「スカートの下に下着なんてありえない!!」
信じられないようなものを見る目をされても困るんだが…。
「とにかく脱げ!何でそれくらい分からないんだよ!無しの方が100倍燃えるに決まってんじゃないか!」
「お前の好みなんて知るか。俺はゲイじゃねえ!」
「言うこと聞かないなら無理矢理剥ぎ取って、M字開脚で写メって友達に送りつけるぞ!」
それは最早メイド服の意味が無い様な。どこの強姦魔だよ。お前は今から何をするつもりなんだ。
と思うが、背に腹は代えられない。
「こ、こっち見るなよ…」
「ああ」
咲也が後ろを向いたことを確認し、下着の縁に手をかける。
下に引っ張ると、それはあっけなく下がり、瞬く間にノーパンになってしまった。
「いい眺めだな…。天下の聖矢様とあろう者が、まさかこんな恥ずかしい格好で俺に服従するなんて思ってもいないだろうからな」
それはもうニタニタと恐ろしい笑みを浮かべ、俺に認めたくない現実をつきつける。頭に血が上って、頬が熱くなった。
「これで満足だろ!俺は帰るからな!!」
出口に向かい、ノブを回そうと思ったら、咲也に後ろから抱きつかれた。
「何言ってんの?本番はこれからだよ」
「離せ!気色悪い!!」
手首を強く後ろに引かれ、よろめいて窓にぶつかった。
「痛っ…」
咲也は再び覆い被さってきて、ガラスに手をついて逃げ道を奪う。
そして、俺に前を向くよう促した。
カーテンの無い窓、そこにあるのは紅い道路とそこを歩く人々。そして間抜けな格好の自分。
「真っ赤になってる。可愛い」
彼の左手は俺の太ももを擦っていて、今にも中にもぐりこんできそうだ。
「悪い冗談はやめろよ?なぁ…」
首筋を冷たい汗が伝う。
「さて。これが冗談かどうかは今から分かるけどな」
それを合図に咲也は手を差し込んだ。

足の付け根を執拗に撫で回し、くすぐったい程度の刺激を与えてくる。
「やめろって!」
「聖矢だってオナニーくらいはしたことあるでしょ?」
低い声で囁かれ、背筋がゾッとした。咲也は俺のぺニスを手に取り、ゆるく擦ってきた。
「…っ!」
リアルな快感に体がびくりと跳ねた。
「ふふふ」
何が面白いのか。
と問いただす間もなく、今度は首を舐められ、同時に手も動かされて、先程よりも強い力で先端を押しつぶされる。
「あ!…うっ」
「おお、勃った。ちょっと触っただけなのに、感度良いの?」
「う…るさ、い!お前がうまいだけだろ!」
「それ褒め言葉?嬉しいなぁ」
「よろこぶな変態!!ん…はぁ」
俺のぺニスはスカートを押し上げ、くっきり型を描いている。
認めがたいが、紛れも無い事実だ。
「あ、ほら前見てみろよ」
民家を繋ぐ道路。そしてそこには8人の女性―――中学生くらいだろう―――が居た。
「明らかにこっち見てるな」
彼女たちはこちらに視線を向けながら、何か話している。
今度こそ倒れそうになった。後ろに咲也が居るせいで倒れることはできないのだが。
「どうやら一部始終を見届けるまで帰らないみたいだぞ」
どうしてそうなったんだ。お前等全員頭おかしいんじゃないのか?
いや、頭がおかしいのは俺も同じか。脳裏に『逆らわない方が幸せ』なんて言葉がよぎったのだから。
「っ…。なら、早く終わらせてくれ…」
きっと何を言ってもこの状況を打破することはできない。
だったら一刻も早く終わらせるのが最善の策といえる。
その方が、この羞恥や屈辱感を味わうのも少しですむ。後悔も怒りも悔しさも。
なのに。哀しいと思うのは何故だ?
あられもない姿を他人にさらすことじゃない。興奮してしまったことへの情けなさでもない。
もっと別の、心の深いところにある物。
もう少しで思い出せそうだ。祈るように目を閉じた。
「ふ…あ!」
咲也の手は先程よりも力を増し、俺を絶頂へと導く。
次第に自分の体も声も制御できなくなる。プライドも人格も壊されて、一瞬だけの至福が訪れる。
「ほら、もういけよ。楽になるぜ?」
悪魔が甘く囁く。
「ふふ。逝っちゃえ!」
その言葉で最後の箍が外れた。
「っ…あ、ああああああ!」
床に滴が零れる音がした。
全身が痙攣して、膝が折れる。
そして開放感に包まれる…筈なのに。
体を支配しているのは疲労感だけ。
恐る恐る目を開け、彼の手を見た。
先走りで多少は汚れているものの、射精した時ほどの量はない。何より液体が透明だ。
かわりに、自分の頬がぬれていた。


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